牛 油 牛

▶︎ CHINESE

Carve : 2010.12.01 - 12.08
Melt : 2010.12.08 - 12.22
Open studio : 2010.12.08 / 12.22
国立台北芸術大学 関渡美術館, 台湾台北市

Supported by :
国立台北芸術大学 関渡美術館
公益財団法人野村財団

Special Thanks : Duncan Mountford (UK)

漢字には、想像的な風景が含まれています。"人"はその立ち姿に似ており、手を広げた様は"大"きく見えます。"木"は、"大"、或いは"人"に似ていますが、よく見ればそれは地面へとつながっています。
物事を本質的な要素で表現する為に、風景は更に複雑に組み合わされます。二本の"木"は"林"、三本で"森"。"人"が"木"の下に留まるなら、それは"休"むことを意味します。

これらの文字を使用しながらも、異なる言語があります。北京語と広東語は同じ文字を異なる方法で発音します。台北のMRTでは、ひとつの駅名が四種類の発音でアナウンスされています。
同様に、文字の組み合わせによる物事の名称にも、異なった組み合わせが存在します。漢字のひとつひとつの文字が想像的な風景を含んでいるのなら、言語に因るこの文字構造の違いは、物事の異なる認識の方法と、"本質的要素"の、別の解釈を示唆する興味深い観察の対象であるかもしれません。

今回私は、バターで制作した小さな彫刻を発表します。これは、広東語で"バター"を意味する"牛油"という文字から触発されました。"牛 cow"の"油 oil"で"バター"。私は私の知識から、これを思い浮かべることは出来ますが、そこには別の想像的風景が存在しているようにも感じます。日本では"バター(牛酪)"と表記される"それ"は、北京で"黄油"となり、台湾で"奶油"となります。文化によって異なるこの認識の方法に着目する為に、私は今回この"バター"で"牛"を制作しました。

 


Video work "十牛油図"
(color / 06'28" / no language / no subtitle / 2011)

 

Extra info 【バター】
バター(butter)という語はラテン語の butyrum を元としており、ギリシャ語で牛のチーズを意味する boutyron を由来としている。
【出典: フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)】