回 廊

 

Exhibition : Jun'ichiro ISHII solo show
2014.04.05 - 06.08 GKK, Klatovy, Czech Republic

Supported by :
Galerie Klatovy-Klenová
在チェコ共和国日本国大使館
公益財団法人吉野石膏美術振興財団

技術的な革新によって今日、私たちの社会・文化へのアクセスは、以前に比べて容易になったように思われます。異なった文化、社会へと身を投じ、体験、観察することが、比較的容易になったと言えるかもしれません。

サイトスペシフィック・アートの活動を通して、自身の身体感覚を伴って発見する地域の文化的社会は、土地の文脈、つまり伝統・風土に基づいた固有の哲学、歴史的出来事の積み重ねにより、事物を様々な形に自動翻訳する、集合的な装置であるようにも感じられます。

そうした装置の中で、私の知る「解釈」とは奇妙に異なる「現実」と向かい合う度に、私はどうやら必要に応じて、自分自身の認識の方法を再構成しなければならないようです。様々に異なる、そこで交換されている言語にさえ理解の及ばない異文化の毎日に適応する為には、私の方が変わらなければなりません。

「自分自身の再構成」、私はそれまでの知識を寄せ集めて、奇異な現実を、自身で理解できるような「枠」に当てはめて、あるいは新しい「チャンネル」を設けながら、個人的に納得出来るような形に、咀嚼してゆく必要があるようです。そして、こうした過程には、他者とは決して共有できないものの、しかし同時に普遍的であるかもしれない、孤独な興奮のようなものが横たわっています。

作品「RONDO」は、円形の廊下を中心とした木造の作品です。作品の内部に進むと、天井は次第に下降し、上下に空間が狭まってきます。

簡単に入って行けるのは入口付近、後は「頭を打たないよう(あるいは打つことも構わず)に」つまり他ならぬ自らの身体と相談しながら、目の前に続く通路を更に奥へ進むのか、あるいはもはや引き返すのか。そうして奇妙に孤独な体験の内に、私がいつも発見するのは、どうやら自分自身の姿でもあります。