阿 吽
「阿(A)」とは、古代サンスクリット語の最初の「音」です。
「あ」という音には「全ての始まり、創造」という意味があるそうです。「あ」という音を発生するとき、私たちは大きく息を吐き出すように発音します。これは「気」を辺りに張り巡らせる様子に例えられ、「呼気」と呼ばれています。
「吽 (hum)」はその反対で、最後の音です。「うん」という音には「一切の帰結、終焉」といった意味があると云います。「うん」はサンスクリット語では「hum」と表記され、空気を吸い込むように発音するとされています。「呼気」に対して「吸気」と呼ばれ、「気」を吸い込む様を表しています。
息を吐くと必ず吸わなければならないように、「あ」と「うん」はふたつでひとつです。息を吸い込むと必ず吐き出さねばなりません。このことから「あ」と「うん」はふたつ合わせて「阿吽の呼吸」といい、複数の人間が共同作業を行うときに一致する、微妙な調子や気持ちを表現します。
「ものごと」は全て、言葉で表現できると考えられます。「宇宙」は「うちゅう」であり、「不思議なこと」は「ふしぎなこと」、「言葉で表せないこと」は「ことばであらわせないこと」という言葉で表すことが出来ます。言葉で全てが表せるのなら、ものごとは「あ」と「うん」の間にある「文字の組み合わせ」によって成り立っていることとなり、始めと終わりの音である「あうん」はものごとを表現する為の大きな「門」である、とも解釈できます。このことから神社の入口などには口を大きく「あ」と開けた狛犬が右に、「うん」と閉じた狛犬が左に配置されました。
私はこの「あうん」の考えを使用しながら、今回参加した福岡市、北九州市での展覧会にて、両市を結ぶイメージを描きました。
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